2007年6月10日

女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN


森 博嗣 / 新潮社(2004/01)
Amazonランキング:130197位
個人的おすすめ度:
Amazonおすすめ度:
人生は最悪でなければ、特に素敵じゃなくても良い
なぜ人を殺してはいけないのか
極上のイマジネーションの産物

レビュー:
今よりもっと未来の時代、ウォーカロンと呼ばれるサイボーグが人と共に生活をする世の中。

ミチルとロイディは、取材旅行の最中に彷徨いルナティック・シティと呼ばれる街へと導かれる。

ルナティックシティは外界の世界から完全にシャットアウトされた街。
百年前に創設されて以来、住民は死ぬ事のないまま平穏な生活を繰り広げている。

そんな最中に密室と思われる状況でルナティック・シティの女王の息子が殺害されてしまう。

しかし、女王を始め住民も王子は殺されたのではなく「眠りに着いた」と説明し、死という概念を退け殺人事件という事実を追求する事もしない。

殺人犯を野放しにすると言う事がどうしても許せないミチルは、事件の真相へと足を踏み込んでいく・・・。

物語は恐らく四季シリーズの話のつながりです。
この物語の後に「迷宮百年の睡魔」へと続くわけです。

それはさておき、物語の中枢となるのが死という概念についてです。

死は肉体が朽ち果てた時なのか?
あるいは、コミュニケーションが不能になった時なのか?

現在でも冷凍保存を行い未来への医療技術の発展に希望を託すと言う思想が存在し、実際に冷凍保存が行われているようですが、彼らは死んでいるのでしょうか?

中には脳のみを保存する方もいるようです。

彼らは今、生きているのでしょうか?

再び眠りから覚め医療によって命を吹き込まれたとき、彼らは「生きながらえた」のでしょうか?あるいは、「再生した」のでしょうか?

死という概念に疑問を投げかけコミュニケーションが不能≒死と答えを導き出そうとする内容には、思想・思考・思念が停止している人達への警鐘にも思えます。

遠からず未来にきっとこんな世の中が来るのかもしれないと考えると、人間の道徳・倫理など未完成なものなのでしょうと思えてしまいます。

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コメント

ネットで広い極上と広いミチルとか、ランキングと、ミチルなどを旅行しなかった?


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