2006年10月26日

強運の持ち主


瀬尾 まいこ / 文芸春秋
個人的おすすめ度:

レビュー:
主人公は、社会での人付き合いに疲れ果て会社を退職した元OLの占い師。

占い師と言う職業は、自分独りで出来る仕事で、他人の話し方や表情と相談内容で簡単に大雑把な人間性が掴めてそれをもっともらしい言い回しで話すだけの簡単な仕事だと思いやっているだけ。

もちろん占い師を始めるに当たって、とある師匠に弟子入りして、運勢の算出方法を教わっているが、独立してからは自分のフィーリングに頼ってそれらしい助言をしている。

だけどこれが良く当たると評判になり、それなりに人気占い師となる。

そんな彼女のもとにちょっと悩ましい内容の占いを依頼する人達がいる。

そんな話が章立てで綴られています。

続きを読んでね♪ "強運の持ち主"

2006年8月27日

温室デイズ


瀬尾 まいこ / 角川書店(2006/07)
個人的おすすめ度:

レビュー:
楽しく授業を受けていた小学校の低学年。
それが高学年になりイジメが始まり教師への反抗が行われやがて学級崩壊となる。

主人公は、その時にクラスの中心にいた女の子。
人をいじめる事、教師に反抗すること、学級崩壊すること。
本当は駄目なこと嫌なことだと思っているけど、当時は自分自身を制御しきれず悪戯に人を傷つけてしまった。

中学校に入り自分が最も傷つけてしまった子と同じクラスになる。
ずっと自分のせいで転向してしまったのかもしれないと後ろめたさを持っていたけど、やがて一番の親友となっていく。

1年・・・2年と順調にクラスもまとまりを見せ平穏な生活が続いていた。
しかし、3年に入りクラスに学級崩壊の兆しが見え始めた。

教師への反抗、誰も聞かない授業。
いつか誰かへのイジメが始まるのではないかと、ひやひやしていたとき親友にその矛先が向き始めてしまう。

根は真面目で真っ直ぐな主人公は、クラスメイトがいる中、先生に申し立てをする。
その結果、予想通り翌日から主人公は大々的にいじめられることになる。

モノを取られたり、
捨てられたり、
陰口を言われたり、
仲間はずれにされたり、
殴られたり・・・。

孤立してしまったけれど、学校は行かなきゃいけない。
おかしいのはクラスの雰囲気だ。

そう頑なに信じて、何度も挫けそうになりながらも強く自分を貫き通す。

そんな近年の学校の問題を子供の視点で書いた作品です。

続きを読んでね♪ "温室デイズ"

2006年5月27日

図書館の神様


瀬尾 まいこ / マガジンハウス(2003/12/18)
Amazonランキング:18,139位
Amazonおすすめ度:
個人的おすすめ度:
そう、文学はおもしろい!
神様のいる場所
しあわせな放課後

レビュー:
とある学校の図書館で繰り広げられていく成長物語です。

学生時代バレーに没頭し自分にも周りにも厳しかった主人公。
とある練習試合、自分はチームのキャプテンとしてチームを引っ張っていたが、
引退を控えたレギュラーじゃない選手を投入したところ惨敗してしまう。

楽に勝てる試合だった・・・。
でもどんな試合に対しても一生懸命すぎる主人公は試合後のミーティングで、
その選手に対していつも以上に厳しい態度で接してしまう。

それが直接的な原因か不明だがその選手は後日自殺をしてしまう。
周りは主人公を犯罪者扱いをするようになり
学問とバレー双方で将来を期待されていたが、部活を退部し進学も田舎の平凡な大学に進学する。

誰もそれを止めず主人公がそうしていなくなることが良いという雰囲気になっている。

そんな過去を持つ主人公は特に目指すものも無いまま学校の講師として働くようになる。
恋愛に関しても不倫という気楽と諦めを兼ね備えた事を続けている。

学校では本当はバレー部の顧問になりたかったけど、国語科の講師という理由だけで文芸部の顧問になってしまう。

全く文学は好きじゃない主人公。
部員は一名。
活動内容は文芸の世界に携わるという内容。
汗を流し心身ともに充実感のあるスポーツが好きな主人公とは無縁の世界だった。

部員の子と接していくうちに主人公の様々な価値観や世界が変わっていき「本当の意味」で立ち直り過去を清算していく・・・。

そんな文芸部でのやりとりを中心とした人間模様が描かれている作品です。

続きを読んでね♪ "図書館の神様"

2006年5月24日

優しい音楽


瀬尾 まいこ / 双葉社(2005/04)
Amazonランキング:14,350位
Amazonおすすめ度:
個人的おすすめ度:
読了後に気分がやさしくやわらかくなる短篇集
気持ちのよい本でした。
優しい気持ちになれる本

レビュー:
ある日、通勤電車の待ち時間に女の子が凝視してくる。
「何か用?」と聞いてもしどろもどろしながら真実は語らない。

ストーカー?悪徳セールス?
そんな疑念を抱きつつ電車に乗り次の日も自分を探す女の子を見つけ逃げるように違う車両に乗車する。

次の日も探している。
思い切って話しかけると女の子は女子大生で特に怪しい人間ではないらしい。
更に特に一目ぼれってわけでもないらしい。

腑に落ちないけど、その後毎朝電車を待つ時間に話すようになる彼等。
やがて主人公の男の子が女の子に恋をし始める。

女の子は最初はためらうものの「頑張って彼女になる!!」なんていう。
徐々にデートを重ね仲良くなっていく彼等。

しかしいつまで経っても彼女に家に招きいれてもらえない。
それが不満で仕方ない彼。

あるとき説得して彼女の両親に会いに行くことに。

会いに行った時、両親は彼の顔を見て硬直してしまった・・・。
その時の表情は最初に彼女に会ったときと同じだった・・・。

不信に想いながらも両親との暖かい食卓を済ませてデザートをリビングで食べた際、全ての謎が解ける。

謎はネタばれなので語らないが、目の当たりにした光景に考える主人公。
そして自分なりに家族に溶け込める術を考え実行してようとする主人公。

意外な形で家族が再び暖かい家族を取り戻す。
そんな話です。

続きを読んでね♪ "優しい音楽"

2006年5月13日

卵の緒


瀬尾 まいこ / マガジンハウス(2002/11)
Amazonランキング:1,823位
Amazonおすすめ度:
個人的おすすめ度:
たまごのお、ではなく「たまのお」の方が語感が良くない?
卵の緒
なごみます

レビュー:
坊ちゃん文学賞大賞受賞作です。

自分は捨て子だと思っている子供。
その事を問い詰めてもすっとぼけ続けるけど、めいいっぱい愛してくれる母親。
そして、ちょっと変わった新たな父親。
小学生とは思えないくらい落ち着いた登校拒否の同級生。
そんな妙な家庭環境で生まれ育つ少年の話です。

成長とともに母の気持ちを徐々に理解し始め
親子の証と言うものが何なのかをつかんでいく様子が描かれています。

非常に面白いです。
ボリュームは少ないし読みやすいのにここまで、
すっきりと伝わってくる物語って少ないんじゃないかなぁと思います。

作者が本当に書きたくて書いたって感じがしました。笑

続きを読んでね♪ "卵の緒"

2006年4月27日

天国はまだ遠く


瀬尾 まいこ / 新潮社(2004/06/23)
Amazonランキング:18,048位
Amazonおすすめ度:
個人的おすすめ度:
心がやさしくなれる
ステキな作品!
スローライフじゃいられない

レビュー:
仕事を始めて数年。
何一つ実績を上げられず悩み苦しみやがて、
都会での生活に疲れ果てた千鶴が自殺をしようと訪れた山奥の民宿。

だけど、安易に考えた自殺方法では死ねずあっさりと日常に戻ってしまう。
だけど訪れた日常はあり得ないくらいの田舎の日常。

都会の喧騒もなく生活に必要な自然は、
都会では決して考えられないくらい広がっているし手にする事が出来る。

そんな情況で民宿の主と不思議な生活を始める。

様々な田舎暮らしを体験して、
一度は田舎に憧れ永住を考えるけど、
やっぱり違う。

そんな言葉に表せない思いが物語になっています。

続きを読んでね♪ "天国はまだ遠く"

2006年4月11日

幸福な食卓


瀬尾 まいこ / 講談社(2004/11/20)
Amazonランキング:9,312位
Amazonおすすめ度:
個人的おすすめ度:
さらっと読める
思いやる人と人とのつながり
胸が熱くなる一冊


レビュー:
「お父さんは今日からお父さんを辞めようと思う。」
そんな妙な出だしから始まる妙な家庭環境を描いた作品。

物語の主人公は長女。
この家庭はある事情があって、母は別居・父は父を辞める兄は直ぐに失恋すると言うちょっと風変わりな環境にある。
でも家族は皆暖かく優しくとっても立派な家庭。

そんな家庭に不信感を抱いている長女だけど、
不幸な出来事をきっかけに家族のあり方や優しさに気づいていく・・・。

そんな物語かなぁ?と感じました。

続きを読んでね♪ "幸福な食卓"