2006年5月27日

図書館の神様


瀬尾 まいこ / マガジンハウス(2003/12/18)
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そう、文学はおもしろい!
神様のいる場所
しあわせな放課後

レビュー:
とある学校の図書館で繰り広げられていく成長物語です。

学生時代バレーに没頭し自分にも周りにも厳しかった主人公。
とある練習試合、自分はチームのキャプテンとしてチームを引っ張っていたが、
引退を控えたレギュラーじゃない選手を投入したところ惨敗してしまう。

楽に勝てる試合だった・・・。
でもどんな試合に対しても一生懸命すぎる主人公は試合後のミーティングで、
その選手に対していつも以上に厳しい態度で接してしまう。

それが直接的な原因か不明だがその選手は後日自殺をしてしまう。
周りは主人公を犯罪者扱いをするようになり
学問とバレー双方で将来を期待されていたが、部活を退部し進学も田舎の平凡な大学に進学する。

誰もそれを止めず主人公がそうしていなくなることが良いという雰囲気になっている。

そんな過去を持つ主人公は特に目指すものも無いまま学校の講師として働くようになる。
恋愛に関しても不倫という気楽と諦めを兼ね備えた事を続けている。

学校では本当はバレー部の顧問になりたかったけど、国語科の講師という理由だけで文芸部の顧問になってしまう。

全く文学は好きじゃない主人公。
部員は一名。
活動内容は文芸の世界に携わるという内容。
汗を流し心身ともに充実感のあるスポーツが好きな主人公とは無縁の世界だった。

部員の子と接していくうちに主人公の様々な価値観や世界が変わっていき「本当の意味」で立ち直り過去を清算していく・・・。

そんな文芸部でのやりとりを中心とした人間模様が描かれている作品です。

タイトルが「図書館の神様」ってくらいだから図書館にすごい人がいて、そこで話が進んでいくのかなぁ?と思ったけどだいぶ違いました。笑

確かに図書館は話の中心かもしれないけど、物語に登場する弟や不倫相手。そして唯一の文芸部員。
みんな心に傷を抱えて生きていて時に躓き苦しみながら考えながら暮らしている。

きっかけは文芸部員の存在が大きいかもしれないけれど、「神様」というのは図書館に数多ある文芸の事かなぁ?という感じです。
人それぞれ感じ方や気に入る文学は違えど、「何か」を見つけ感じて進んでいくことが出来る。

そんなニュアンスが込められた作品です。

それにしても瀬尾さんの作品って傷ついた人を立ちなおせる話書くの上手いなぁ・・・。

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