2006年8月10日

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life


森 博嗣 / 中央公論新社(2006/06)
Amazonランキング:位
個人的おすすめ度:

レビュー:
話の舞台はナ・バ・テアとスカイ・クロラの間の話です。

草薙水素は既に大尉に昇進しており小部隊を指揮している。
この基地に連れてきた数少ないメンバーの一人が、クリタ・ジンロウ。

そう。
スカイ・クロラでカンナミが入る直前にいなくなっていたキルドレ。

スカイ・クロラではクリタについては、濁し読者の想像に任せる範囲でしかなかった。

そのクリタが主人公です。

クリタは土岐野と一緒にチームを組んでおり時々、草薙水素大尉と三人でフライトする。
彼が唯一一目置く存在は草薙水素。

戦死した本庄というキルドレと関係のあった研究員で、草薙水素と幼馴染だというサガラ・アオイという研究者と関わっていく。

それは彼がキルドレだから。
そして草薙水素がキルドレだったから・・・。

草薙水素の変化とキルドレにドンっと踏み込んで、何故草薙水素が頑なまでに自殺を志願するのかについての実態に迫る作品です。

時々伝説のパイロットティーチャーも戦闘に現れ、草薙の部下達を片っ端から迎撃していく様も相変わらずです。

私はずっとカンナミはクリタの生まれ変わりなのではないだろうか?と思っていました。

この本を読むとますますその疑問が払拭できなくなる部分があるし、その疑問を消せぬまま終ってしまいます。(次回作に期待)

ただ、クリタは草薙水素が連れてきた部下。
そうであれば、草薙水素とティーチャーの間に子供が出来る前に草薙水素が入院した折にあったカンナミは誰なのか?

ちょっと話が合わなくなってしまいます。。。

ん?クリタ・ジンロウの記憶を持つキルドレ、カンナミ。

いったい二人は何者なんだろう・・・。

そういった疑問がもやもやと残りますが、
そこがまたこのシリーズのいい所でもあります。

全てを語らない。

だけど、世の中の大人達の世界に対する
疑問・疑念・醜さ・・・そういったものに
キルドレの持つ独特の感性からズバズバと切り裂いてくれます。

ただ、草薙水素が主人公として描かれていた時より
クリタもカンナミも大人なので(同じキルドレとは言え)
やたら落ち着き冷静に自分と他者を切り離して考えられるところが、
ちょっとがっかり・・・。

戦闘シーンもやっぱり草薙水素の戦闘が一番カッコイイ!!
是が非でも草薙サーカスを使用してる戦いっぷりが読みたい!!

ないとは思うけど、ティーチャートのガチンコシーンなんかも
あったら読みたいなぁ?!!

と、なんだかんだ言って草薙水素が一番、
自分の欲求に素直で自分の居場所を良く知っていて、
この世の中の大人達への疑問を素直にぶつけてくれる。

そんなかっこよさ・強さ・儚さ。
とっても引き込まれます。

すっかり草薙水素のファンになってしまったオイラです。笑

前作を読んだ事のある人は絶対に読んだ方が良いと思います。

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