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レビュー:
オーストリアの貴族の末裔であるメルヒオール。
父にそう名づけられた彼は実は肉体は一つではあったが魂は双子であった。
そこで彼らはメルヒオールとバルタザールと名乗り変人扱いをされながら日々を生きていた。
しかし、第一次世界大戦終了と共に貴族制度は廃止。
彼らは様々な理由もあり行く当てと生きる希望も失いひたすら酒を飲み続ける毎日に落ちていく。
そんな彼らの遍歴について、メルヒオールが綴る日記として書いてあります。
(だからバルタザールの遍歴なのかなぁ?)
とてもじゃない。
私のような程度の低い知識しか持ち得ない人間には細かなレビューは無理でした・・・。汗
メルヒオーレとバルタザール。
二人の関係が非常に上手く描写されていて、一気にその世界に引き込まれます。
傍から見ていると一人だけど、実際は二人でやりとりをして、二人の人間が日記を書くモノと酒を飲むモノと分かれていたりする。
その辺の描写がどういう物事を見てれば思いつくのか本当に不思議なくらい上手い!!
そして何より時代設定が好きです!!
「天使」と近い時代。
第一次世界大戦をまたぐ形で物語が綴られているわけですが、とてもリアル(史実もあるから当然と言えば当然ですが・・・)に描写されています。
その時代の風俗なんかも上手く描写されているのが、魅力の一つ。
(どうしてこの人の作品の主人公は堕落しているのにプレイボーイなんだろう・・・と言う疑問が。。。)
兎に角、素晴らしい!!に尽きる一冊です。
筆者が蓄えた知識と妄想がフル動員されているんだろうなぁなんて思うくらい詰まっています。
今まであまり例をみないのでは?と思う形式の話・構成・綴りにかなり驚かされながらもズラズラと呼んでしまいます。
かなりオススメ!!
ちょっと気になるのは、メルヒオールの手記なのにバルタザールの遍歴。
だけど、バルタザールが主体であるわけじゃないような・・・と言う気もします。
もっとも作品中で最も重要としたのが、バルタザールの辛過ぎる過去なのかもしれないので、妥当かもしれませんが・・・。
彼らのような登場人物で、「天使」のようなストーリーでもかなり面白いだろうなぁと思います。
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