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レビュー:
17歳から約18年間のみ続けて重度のアルコール中毒にかかってしまっている主人公。
食事もろくにとれずアルコールも仕舞には吐いてしまい、ほっておけば間違いなく死んでしまうかもしれない。
そんな主人公が黄胆の顔でふらふらの足取りで病院に向かい入院する物語。
病院には驚く程、重度の患者がいて、驚く程あっさりと亡くなってしまう人がいる。
そんな状況を眺めつつ徐々にアル中から復帰していく主人公。
でも決して酒を辞めたわけではない。
病院暮らしでただ、飲めないだけだ。
中毒に関して、アルコールに関して様々な主人公の思いや文献と共に熱く綴られている一冊です。
何が驚きと言うと、この物語が実話を基に描かれていると言うこと。
そう作者の中島らも氏もまた有名な酒好き(?)だ。
その彼が35歳の時に体験した話を基に描かれている。
アルコールに対する想い。
アル中に対する考え。
アル中とそうでない人の違いについて。
いろんな文献を引用し、自らが体験したからこそ
着目でき描くことが出来たんだろうと思わせる作品です。
そのアル中がテーマではあるけど、
人間についてや人生について・・・
数多ある社会問題なんかも織り交ぜているので、
お酒をあまり嗜まない私でも十分すぎるほど、
引き込まれ貪るように読んでしまいました。
この人もまたよく人を見ているし、
よく自分自身を知っている。
その上で、残酷なまでに冷静に他人と自分の
切り分けが綺麗に出来ている。
私はそう感じました。
独特の作風だけど、
一度読むと癖になる。
そんな小説です。
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