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レビュー:
「天使」の続きの話が短編形式でつづられています。
主人公のゲオルク・エスケルスが有能な部下と運命的な出会いをする「王国」。
父親のグレゴール・エスケルスが本気で愛した女(ジェルジュの母)と出会うまでのエピソードが綴られている「花嫁」。
ジェルジュがロシア軍に潜入していたときに出会ったヨヴァンとの再開、そして対立を綴った「猟犬」。
最後にスタイニッツが死去しジェルジュが引退しディードリッヒシュタインの嫁のギセラと駆け落ち同然の恋に落ちていく「雲雀」。
どれも全て諜報員としての活躍の傍らで綴られています。
前作よりは一つ一つのエピソードについて細かく描写されています。
ですが、やはり肝心なところは読者任せと言うか想像させてくれる・・・その辺が前作よりも面白いです!!
特に「雲雀」の最後なんかどうなったんだろう?といろいろ想像しまくりです。
ジェルジュも働き盛りの大人になった時の話でもあるので、スタイニッツやラスタ男爵が死去し、大公が大人しくなってしまいメザーリのような人間もいなく、寂しさを感じてしまうのは否めません。
そういう時代だけに・・・おそらく第一次世界大戦も終焉の頃かな?・・・前作のような様々な諜報活動も「感覚」を多用して活動する場も減っているので、ストーリーとしてはちょっと退屈しちゃう部分も本当はあるかもしれません。
ですが、作者の巧みないろんな事を仄めかし想像させる文体と構成で完璧なまでの締めくくりがされています。
「天使」を読んだ人は必読でしょう!!
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