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レビュー
物語の舞台はキリシマ。
主人公はそこに住む学生(?)。
だけど、病を患っている事を理由に徴兵には行かず、毎日ダラダラと書物に読みふけたり近所に出かけたりしている。
そんな主人公ではあるが、空襲にあったこともある。
目の前で同級生の友人が死んでいくのを恐怖のあまり助けることすら出来ず、見殺しにしてしまった・・・。
そして、無くなった妹との出会い。
彼女は最初から兄なんかいなかったと自分に言い聞かせ主人公との会話を一方的に拒絶する。
何故?誰のせいでこうなった?自分は見殺しにした友人や残された妹さんの為に何が出来る?
そんな葛藤が描かれていました。
物語は確かに戦時中を描いていますが、蛍の墓などの作品のようにストレートに戦争の悲惨さを訴えるものではありません。
ただ、純粋に戦争によってなくしてしまったもの。
得られなかったもの。
見失ってしまったもの。
そんなものが繊細に描かれているように感じました。
決して壮大なクライマックスや驚愕の結末のはありませんが、淡々と進んでいく戦争がひどく切なさを大きく感じさせます。
私はこの作品を見終わった後、やはり戦争は終ってよかった。
勝ち負けに限らず、キリシマを始め貴重な自然や文化遺産が残り人々の故郷が残ったことは唯一の救いのように感じました。
自分にはそんな綺麗な故郷もなくありふれた住宅街に住んでいますが、我々が観光地に行って文化遺産に触れることも大自然の中でキャンプが出来るのも戦火を免れた日本の故郷が残っていたからだなぁと感じます。
ありふれた戦争映画とはちょっと違う戦争映画。
一度観ておくのも良いと思います。
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